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シン・ヨウゴシュウ

シン・ヨウゴシュウ(Chapter 1)臨床実習・初期研修の現場で耳にする略語・キーワードをまとめました。あるある?ないない?諸説ありますが適度に参照ください

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略語 和文もしくは欧文 解説
あーるびぃーでぃー レム睡眠行動障害/rapid eye movement sleep behavior disorder RBDと記載。同居者からの病歴聴取が重要。
あいしーえっち Intracerebral hemorrhage/脳内出血 手術適応例に比して、内科的治療が優先されることに留意。
あいじーじーいんでっくす IgG index 脳脊髄液・採血検査結果から評価。Neurologistの数少ない計算手技。桁が違う場合には計算間違いを疑う。
あきれす Achilles tendon reflex/アキレス腱反射 ATRと記載。ちなみにアキレス腱断裂は痛くない。
あすぺくと Alberta Stroke Programme Early CT Score 超急性期脳梗塞の再灌流療法で、虚血完成領域を評価するスコア。検者間の一致率が低いことは秘密。
あっぱー 上位運動ニューロン/Upper motor neuron Upperと記載。上位と略す場合もある。ALS/MNDの診断に頻出。
あなるず 「Annals of Neurology」 American Neurology Associationの機関誌。
あぽ Apoplexy/脳卒中 近年は、すとろーく (stroke)と呼称することが多い。
あみとろ 「えいえるえす」を参照 アミトロと記載。脳神経内科で一番最初に覚えた疾患名。
あんぎお Angiography/脳血管造影 Neurologistは頸動脈直接穿刺という驚愕手技を行っていた(かつて)。血管内治療を専攻するなら必須。
略語 和文もしくは欧文 解説
いちまるびる 日本神経学会事務局所在地 湯島天神下交差点、春日通りを登りきった左側。周辺には居心地がよい居酒屋が多い。
略語 和文もしくは欧文 解説
うーとふ Uhthoff sign MSの方は暑さが苦手。
略語 和文もしくは欧文 解説
えいえるえす Amyotorophic lateral sclerisos/筋萎縮性側索硬化症 ALSと記載。運動ニューロン疾患(MND)とほぼ同義。
えーでぃー Alzheimer's disease ADと記載。認知症の原因ナンバーワン。今後、抗体療法が広まるかもしれない。
えぬしーえぬ 日本神経学会英文誌「Neurology and Clinical Neuroscience」 NCNと記載。英文で症例報告を記載するなら、是非投稿を。
えびでんす Evidence basaed medicine あらゆる領域を支配する力。対抗馬はexperience based medicine.
えふえすえっちでぃ Facioscapulohumeral muscular dystrophy/顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー FSHDと記載。病歴と診察で、びしっと診断できるとキリッとする。
えぽまい エポキシ樹脂包埋法 生検材料を電顕で観察するための固定法。エポキシ樹脂(商標:エポン=EPON)であることに注意。
えむえす Multiple sclerosis/多発性硬化症 時間的空間的、という疾患概念。原因は不明だが治療法はある。弁膜症ではない。
えむえすえー Multiple system atrophy MSAと記載。パーキンソン関連疾患の一つ。進行が早い印象。橋の十字サインに囚われすぎないように。
えむえむえすいー Mini Mental State Examination ベッドサイド・外来で認知機能を簡便に評価するスケール。「みんなでちからをあわせてつなをひきます」
えむえむてぃー Manual Muscle Test/徒手筋力テスト Neurologist(検者)が疲れずに完遂できたら、一人前。3の姿位を理解する。
えむえるえふ Medial longitudinal fasciculus/内側縦束 MLFと記載。側方注視に重要な核間線維、解剖学的には完全に同定できていない(と記憶しています)。
えむじー Myasthtenia gravis/重症筋無力症 重症かは別として、代表的な筋疾患の一つ。2022年にガイドラインが改訂。
えむてぃー Mechanical thrombectomy/機械的血栓回収術 MTと記載。超急性期脳梗塞に対する再潅流療法。脳神経内科医も活躍できる手技の一つ。
略語 和文もしくは欧文 解説
おっずひ Odds ratio ORと記載。賭け事が得意な方はピンと来る大切なデータ。95%信頼区間の幅、1を跨ぐかに注意。
おりご Oligoclonal bands 主にMSの方の脳脊髄液検査で出現するバンド。ミエリン塩基性タンパクも確認する。
略語 和文もしくは欧文 解説
かいり 頸動脈もしくは頭蓋内動脈解離/dissection 若年性脳梗塞の重要な原因の1つ。「解離性感覚障害」「解離障害」は略さずに使用する。
かこもん 日本神経学会認定神経内科専門医試験の過去問(非公認) 専門医筆記試験の問題を、疲弊しきった受験生の記憶だけを頼りに再現した問題集。昔は選択肢だけ、問題文だけ、写真は空想という奇問もあった。
略語 和文もしくは欧文 解説
きせつ 気管切開術(後) 呼吸筋麻痺、高度の球麻痺、意識障害による呼吸障害を回避するための処置。
略語 和文もしくは欧文 解説
くびさがり 首下がり 座位、安静立位時に顎引き、頭垂れの状態。首が下がっているか、には諸説あり。
略語 和文もしくは欧文 解説
けいほ 鶏歩/steppage gait 歩行時にペタン、ペタンと音が聞こえる(こともある)。
げーげんはるてん Gegenhalten/抵抗症 被検者の注意をそらすと正常になる、「なかなか抜けない」筋抵抗。
けんせい Dominant (inheritance) 顕性と記載。かつては優性と表現した。「潜性」も覚える。
略語 和文もしくは欧文 解説
こうたい 抗体 確定診断の鍵にも、誤診の元にもなりうる検査結果。解釈に注意する。
こんしんかい 懇親会/reception party 学術集会の期間中に開催される、交流会(宴会)。発表した内容は覚えていなくとも、この思い出は残る。
略語 和文もしくは欧文 解説
ざー Subarachnoidal hemorrhage/くも膜下出血 脳外科医の前では、えすえいえっち(SAH)と表現するほうがよいかも。
さす 睡眠時無呼吸症候群/sleep apnea syndrome SASと記載。同居者からの病歴聴取が重要。
さどく 査読 学術雑誌の論文採否を評価するシステム。
さぼうかいかん 砂防会館 日本神経学会関東・甲信越地方会の会場。東京の永田町。昔は全共連ビル(農協)で暑かった。
さまりー 日本神経学会認定神経内科専門医試験で事前に提出する経験症例のまとめ ごくごく、普通の症例を出すことが重要。
略語 和文もしくは欧文 解説
しーあいでぃぴー Chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy CIDPと記載。GBSと比較し慢性の経過。ガンマグロブリン製剤が有効。
しーえむてぃー Charcot-Marie-Tooth disease CMTと記載。病歴、診察、伝速が重要。
しーびぃーえす Corticobasal syndrome CBSと記載。パーキンソン関連疾患の一つ。剖検ではCorticobasal diseaseと名前を変える。
じーびーえす Guillain-Barré syndrome 急性・多発性の自己免疫性末梢神経障害。初療医の判断が特に重要な疾患。
じむきょく 日本神経学会事務局 困ったときの窓口。
しょうろく 抄録/abstract 学術集会・地方会の発表に先立ち公表する発表概要。締め切りに間に合わせることが重要。
しんぐるふぁいばー 単線維筋電図検査 MG例、神経筋接合部のジッター現象を、何が何でも確認したいときに実施する。
しんない 神内/脳神経内科 Neurology領域の診療科標榜名を、かつて神経内科と呼称していた時代の名残。
略語 和文もしくは欧文 解説
せいけん 生検 脳、筋、末梢神経、ときに皮膚生検を指す。末梢神経縫合技術の進歩に注目。
せんせい Resessive (inheritance) 潜性と記載。かつては劣性と表記していた。顕性も覚える。
せんもんい 日本神経学会認定神経内科専門医 学会に入会したらまず目指す資格。筆記試験後に面接試験。あとは、ハンマーと音叉と楊枝があれば、なんとかなるはず。
略語 和文もしくは欧文 解説
そうかい 日本神経学会年次学術大会 1年に一回開催される神経学会の勉強会。かつては全国(札幌から鹿児島まで)を廻ったが近年は大都市開催のみで残念。
略語 和文もしくは欧文 解説
ちほうかい 日本神経学会@@地方会 全国を6個の地域(@@)に分けて、地域ごとに主に症例報告を持ち寄る勉強会。若手の学会発表登竜門。
略語 和文もしくは欧文 解説
でぃーびぃーえす Deep Brain Stimulation DBSと記載。パーキンソン病の外科的治療の一つ。脳神経外科と脳神経内科のチーム医療が大切。
てんすう 専門医更新に必要な単位(数) 指定された学術集会・地方会等に参加すると付与される点数。点数が貯まると、無事に専門医が更新できる。
でんそく 神経伝導速度検査 末梢神経障害を評価する電気生理検査。伝達速度ではないことに注意。
略語 和文もしくは欧文 解説
とらぺ Trapezius/僧帽筋 MG (えむじー)、反復誘発筋電図検査で評価する筋肉。
略語 和文もしくは欧文 解説
なしょせん 国立高度専門医療研究センター 厚労省管轄,6つの大きな研究所+病院。
略語 和文もしくは欧文 解説
にゅーろろじー Neurology 神経学(極める領域)、もしくはAmarican Academy of Neurology の機関誌「Neurology」(採択の目標)を指す。
略語 和文もしくは欧文 解説
のうない 「しんない」を参照 脳内と記載。Neurology領域の一般的略語。能力はもちろん有ります。
略語 和文もしくは欧文 解説
ばいあす バイアスピリン/bias 脳梗塞再発予防に世界中で最も頻用される抗血小板薬。ときに「統計学的な問題」として使用することもある。
ばいせぷす Biceps brachii/上腕二頭筋, biceps tendon reflex/上腕二頭筋反射 BBもしくはBTRと記載。上腕三頭筋は「とらいせぷす」。
はせがわ 改訂長谷川式簡易知能評価スケール ベッドサイド・外来で認知機能を簡便に評価するスケール。まず検者は、野菜を10個覚えましょう。
ぱてら Patellar tendon reflex/膝蓋腱反射 PTRと記載。仰臥位、膝立姿位での評価。
ばびんすきー Babinski sign/バビンスキー反射 Neurologist(検者)が被検者の足底をこすったときに、検者がニヤっとしたら陽性。正確には母趾背屈。
はり 針筋電図検査 筋力低下、筋萎縮の原因を探る検査。針を刺すので当然ながら痛い。
ぱるす Steroid pulse therapy パルスと記載。メチルプレドニゾロン 1000mgを3日間、に準じた標準的免疫治療。適宜減量すると、ミニパルスと呼称。
ばれー 上肢Barré徴候 上肢を水平挙上、手掌を上向き保持を指示し観察するテスト。実は変法で、原典が気になる人は調べましょう。
はんまー Hammer/打腱器 Neurologistのアイコン。とにかく、叩いて、叩いて、叩く。
略語 和文もしくは欧文 解説
ぴーいー Plasma excahnge/単純血漿交換療法 PEと記載。ある意味究極の治療。
ぴーえすぴー Progressive supranuclear palsy PSPと記載。パーキンソン関連疾患の一つ。臨床型は「なんでもあり」。
ぴーち p値/p value 0.05未満になると、ニヤッとする値。解析結果に何の意味があるかは別に。
ぴーでぃー Parkinsion disease/パーキンソン病 PDと記載。振戦麻痺。歩行の観察が重要。
略語 和文もしくは欧文 解説
ふぁぶ Frontal Assessment Battery/前頭葉機能検査 FABと記載。Applauze test(拍手の模倣)は覚えておく。
ぶりすく Brisk 腱反射がよく出ること。「亢進」ほどじゃないね、というときに。
略語 和文もしくは欧文 解説
まん Mann test/posture 綱渡り姿位をとって、姿勢保持はposture, 閉眼させるとtest. パイロットは30分できるらしい。
略語 和文もしくは欧文 解説
みよし 三好型ミオパチー/Miyoshi myopathy かつて専門医試験に頻出。
略語 和文もしくは欧文 解説
めらす Mitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes/ミトコンドリア脳筋症 MELASと記載。ミトコンドリアの機能障害によって全身臓器に障害が出現。タウリンが効く(病型がある)。
めんせつ 日本神経学会認定神経内科専門医試験の面接試験 実技評価と経験症例評価を行う。
略語 和文もしくは欧文 解説
やこぶ Creutzfeldt-Jakob disease CJDと記載。「やこぷ」と発音すると喜ぶ人もいるが稀。
略語 和文もしくは欧文 解説
らくな ラクナ梗塞/lacunar infarct 神経病理 故平野朝雄先生は「ラクナ梗塞は塞栓症!」と総会で宣言されたことを記憶している人は少ない。
略語 和文もしくは欧文 解説
りんしょうしんけい 日本神経学会誌「臨床神経学」 本学会の機関誌。学生会員・研修医会員は無料で閲覧可能。抄録はPubMedにアップ。
略語 和文もしくは欧文 解説
るんばーる Lumabr puncture/腰椎穿刺 Neurologist の数少ない?針を用いた手技。被検者の位置取りが成否を分ける。
略語 和文もしくは欧文 解説
れむす Lambert-Eaton Myasthenic Syndrome/ランバート・イートン筋無力症候群 歩容をじっくりと観察する。
略語 和文もしくは欧文 解説
わーれんべるぐ Wallenberg syndrome/延髄外側症候群または後下小脳動脈症候群 瞳孔と眼瞼の診察を忘れないこと。