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未来の脳神経内科

Machine learningを活用すれば、超急性期脳梗塞に対する「余計な」機械的血栓回収術の実施を回避できる...かもしれません。Artificial intelligence (AI), deep lerningの臨床応用はすぐそこまで来ています。

Multivariable Prediction Model for Futile Recanalization Therapies in Patients With Acute Ischemic Stroke | Neurology

AIはすでに多くの実臨床現場で応用されつつあります。放射線画像診断、病理所見、内視鏡所見、皮膚肉眼所見など実に幅広い領域です。通常の統計解析手法で計り知れない個別の因子、例えば術者の手技、経験、医療機関のチームワーク状況、患者の個人情報などを累積して学習し、AIが最適な判断を下すような時代、実はすでにそこまで来ています。脳神経内科診療には、AIが代行できる領域はまだ多くないのでは?と感じていました。今回紹介する論文では、待ったなしの高度先進医療実施判断に対するAI利活用の可能性を示しました。超急性期脳梗塞例に対して、閉塞した脳血管と神経症状を有する患者さんを目の前にし、相応の技術を持った術者が「do not go」と判断することは、実は困難なことが多い印象があります。とくに術者が、熱意があり、自分の技術を信じている、いわゆる良医であればあるほど。従前は 「do not go」判断は、経験がある老医(といったら失礼です)が担っていました。しかし、働き方改革の波で、多くの医師を超急性期医療の最前線にスタンバイさせることは現実的ではありません。遠隔診療支援とともにAIの利活用は、今後の医療を大きく変革させることでしょう。

小憩ですがAI、とくにロボット、アンドロイドに関する映画はたくさんありますね。古くはBlade Runner (1982年 米国)The Terminator (1884年 米国)、最近は EX_MACHINA (2015年 英国)、Upgrade (2017年 米国)など。いずれも人とAIの共存が大きなテーマです。臨床への応用についても「AIは人の判断を上回るか?」という大きな課題を乗り越える必要がありそうです。症例検討会もAI化?するかもしれません。スキマ時間に是非ご視聴あれ。(文責イグッチ)