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神経疾患と共に生きる患者さんの“現在”にできること

神経疾患には、頭痛や脳卒中等のコモンディジーズから、筋萎縮性側索硬化症(ALS)や脊髄性筋萎縮症や多発性硬化症(MS)等の難病まで幅広く存在します。
それぞれの疾患の発症メカニズムを明らかにして、治療開発に繋げることは、神経疾患の患者さんの医療に関わる脳神経内科医や神経学研究者の大きな目標です。この目標を達成するには、基礎研究や臨床研究、その両者をつなぐ橋渡し研究等、様々な研究成果から臨床試験、各種審査過程を経て、実際に患者さんに治療を届けることが可能になります。数年から数十年のプロセスを経ますので、未来の患者さん、あるいは、今困っておられる患者さんの未来において達成されることになります。
その一方で、様々な神経疾患と共に生きておられる患者さんの“現在”にコミットすることもとても大切です。診療の現場では、問診で日常の診療における症状の変化を聞き取り、神経診察と必要な際には検査を行い、起こっていることをアセスメントし適切な治療を行うことはもちろんのこと、患者さんのADLはどうか、障害者手帳や特定疾患の申請はできているか、就学・就労状況はどうか、社会保障制度を十分に活用できているか等、患者さんや患者さんご家族の生活状況にも思いをはせ、今必要な対応を多面的に考え実行することも神経疾患の診療にあたって重要です。そして、研究面においても、医療xデザインの力で患者さんや患者さんご家族、医療に関わる方々の“現在”をかえていくことも可能です。専門性を活かし異分野をつないで新しい手段で神経疾患と生きる患者さんの今にコミットする-あなたはNeurologyと何を掛け合わせますか?

文責: つむぐ

論文
Auernhammer, J., Sonalkar, N., Saggar, M. (2021). NeuroDesign: From Neuroscience Research to Design Thinking Practice. In: Meinel, C., Leifer, L. (eds) Design Thinking Research . Understanding Innovation. Springer, Cham.
https://doi.org/10.1007/978-3-030-62037-0_16